
治験コーディネーター(CRC)の働き方は雇用先によって主に2つに分けられます。一つがSMOに雇用される場合で、一般的に知られた働き方です。もう一つが病院に雇用される働き方で、院内CRCと呼ばれています。
院内CRCはSMOの治験コーディネーター(CRC)よりも「求人が少ない」「CRC未経験者は選考に通過しにくい」などと言われていますが、実際はどうなのでしょうか?「院内CRC」と「SMOで働く治験コーディネーター(CRC)」の2つの違いを詳しく解説します。
院内CRCとSMOで働くCRCとの違い

「院内CRC」と「SMOの治験コーディネーター(CRC)」はどちらも一長一短がある。
院内CRCのメリット
- 1位
- 勤務地が変わらない
- 2位
- 他の医療従事者に気を使わなくてすむ
SMOのCRCのメリット
- 1位
- CRC未経験者への教育が充実している
- 2位
- 働き方の自由度(フレックス、在宅勤務)が大きい
「院内CRC」と「SMOの治験コーディネーター(CRC)」はどちらも一長一短があるため、自分がどちらに適しているかを考えたうえで、応募先を選ぶことが大切です。では、以下で違いを詳しく解説します。
【仕事内容】基本的にはどちらも同じ


院内CRCとSMOで働く治験コーディネーター(CRC)のどちらも仕事内容に大きな違いはありません。
大手のSMOは組織が大きいため、CRC業務とSMA業務を分けて分業制により業務を行っていることも多いですが、院内CRCは規模が小さいことも多いため、一人で何でもこなすことが求められる場合が多いです。
SMOでは幅広い領域が経験できますが、院内CRCはその病院で行われている領域に限定した治験に携わることになります。その分、院内CRCは担当する試験数が多くなる傾向があります。
院内CRCは病院の職員であるため、病院内の治験担当医や看護師にあまり気を使う必要はありませんが、SMOで働く治験コーディネーター(CRC)は外部の人間であるため、病院内の医療従事者と接する時に細かい配慮が求められます。
- Q
- 院内CRCは治験コーディネーター(CRC)以外の業務が多い?
- A
- 必ずしも多いとは言えません。治験コーディネーター(CRC)と、看護師や臨床検査技師の業務を兼任している院内CRCは少数派です。多くの院内CRCは治験専門の部署に所属し、治験コーディネーター(CRC)業務のみを行っています。また、SMOの治験コーディネーター(CRC)であっても、会社の状況によっては治験コーディネーター(CRC)以外の業務に携わることも多いため、「院内CRCだけが治験コーディネーター(CRC)以外の業務が多い」とは言えません。
- Q
- 院内CRCは治験の実施数が減ると治験コーディネーター(CRC)の業務ができなくなる?
- A
- はい。院内CRCは治験の実施数が減ると看護師や臨床検査技師へと戻ることになり、治験コーディネーター(CRC)の業務が続けられない場合があります。ただし、業務が続けられなくなるのは院内CRCだけではなく、SMOであっても同様です。つまり、院内CRCに限らず、治験の実施数が少ない組織に所属している場合、数が減ると治験コーディネーター(CRC)として働けなくなる可能性があると言えます。
- Q
- 院内CRCは治験について勉強できる機会が少ない?
- A
- いいえ。院内CRCであっても、大学病院などの大きな病院の治験コーディネーター(CRC)は外部の研修に参加する機会が多く、治験について勉強できる機会は多いです。勉強の機会の多さは、院内CRCとSMOではなく、病院・会社の規模や方針の違いによって決まります。
【医療行為】基本的にはどちらも行わない


院内CRCとSMOで働く治験コーディネーター(CRC)のどちらも医療行為に携わらない方が多いです。院内CRCは医療行為を兼務している方も見られますがごく一部です。SMOで働く治験コーディネーター(CRC)は法律によって医療行為に携わることが禁止されています。
治験コーディネーター(CRC)は治験の公平性の観点から、専任で勤務している間は医療行為を行わないことが推奨されています。
【給料】大学病院の正職員が最も高い
院内CRCとSMOの年収ランキング
- 最も高い
- 大学病院の院内CRC(正職員)
- 高い
- SMO(大手 ※一部を除く)のCRC、国公立病院の院内CRC(正職員)
- 普通
- SMO(中小)のCRC、医療法人の院内CRC(正職員)
- 低い
- 院内CRC(非正職員)

治験コーディネーター(CRC)の年収は大学病院の正職員が最も高く、次いで大手のSMOと国公立病院となっています。大学・国公立病院であっても非正職員の給与は低いことが多く、同じ院内CRCでも格差が発生しています。
一部のSMOでは入社して4~5年後に給与が大きく上がる方がいらっしゃいます。
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【労働環境】病院、担当施設によって異なる


院内CRCの労働環境は所属する病院によって異なります。年間休日は土曜日の出勤がある病院は110~120日程度となっており、120日以上ある病院は半数以下です。残業は大学病院やがんセンターなどは多く、医療法人やクリニックは少ないです。雇用形態は3~5年が経過すると退職を求められる非正職員の比率が多いです。
SMOで働く治験コーディネーター(CRC)の労働環境は、担当する施設によって異なります。通勤に1時間以上かかったり、土曜出勤が続く施設も存在します。好きな時間に出退勤できるフレックスタイム制や、自宅にいながらリモートで勤務できる在宅勤務制度を取り入れているSMOが多く、働き方の自由度が高いことが特徴です。
年間休日の比較
※主要なSMOと病院・クリニックの調査データをもとに作成。
雇用形態の比較
※SMOはCRCばんく、病院・クリニックは各臨床試験支援センター・JCOG、などの調査データをもとに作成。
フレックスタイム制
※主要なSMOと病院・クリニックの調査データをもとに作成。
【人間関係】濃密な院内CRC、ドライなSMO


院内CRCが所属する組織は、規模が3~10名前後と小さく、人員の流動性が低いです。そのため、良好な人間関係を長期にわたり維持できる可能性が大きいです。しかし、壊れてしまった人間関係を修復することは難しいです。特にベテランの社員に嫌われてしまうと、退職に追い込まれてしまう可能性があります。
以上から、院内CRCの人間関係は「入職して3ヶ月以内に良い人間関係を築ければ長期にわたり維持できるが、築けなければ悪い関係が退職するまで続く」と言えます。
SMOの治験コーディネーター(CRC)は担当する病院が変わるたびに、一から人間関係を構築し直す必要があります。良好な人間関係を築いても、病院が変われば、人間関係は振り出しに戻ります。また、SMOに所属する治験コーディネーター(CRC)の数は100人以上と多く、全部の社員の名前と顔を覚えることはできません。そのため、SMOの治験コーディネーター(CRC)の人間関係は「院内CRCよりも希薄になりやすい」と言えます。
しかし、相性が悪い上司や同僚がいても、担当する施設を変わったり、別のチームに移れば人間関係をリセットできるため、人間関係の悪化により退職に追い込まれてしまう人の割合は院内CRCよりも低くなります。
【異動・転勤】院内CRCは異動、SMOのCRCは転勤がある


院内CRCの悩みの1つが「同じ病院で治験コーディネーター(CRC)として働ける期間が決まっていること」です。
雇用形態が正社員以外の場合、治験コーディネーター(CRC)として働ける期間が3~5年と決まっていることが多く、期間が満了すると退職になります。
「正社員の院内CRCなら長く働けるのでは?」と思われるかもしれませんが、一部の医療法人などを除けば、同じ病院で正社員の院内CRCとして働き続けられる期間は長くても10年前後です。理由は「部署異動」です。
多くの病院は、不正の防止や人員交流、キャリア構築などの理由で、職員が長期にわたり同じ部署で働き続けることを良しとしていません。そのため、一定期間ごとに部署を変えるジョブローテーション制を取り入れています。
治験コーディネーター(CRC)の場合、部署の異動をお願いされるまでの期間は他の病院の職種よりも長いことが多いようですが、部署異動がないわけではありません。大学病院や国公立病院の院内CRCは10年前後で違う部署への異動をお願いされる場合が多いようです。
仮に35歳で正社員の院内CRCになった場合、45歳ぐらいで他の部署への異動をお願いされる可能性が高いと言えます。就業規則には「異動の指示は断れない」と書かれているため、院内CRCは、同じ病院の看護師や薬剤師、臨床検査技師として働き続けるか、別の職場で治験コーディネーター(CRC)を続けるかの選択を迫られることになります。
一方でSMOの治験コーディネーター(CRC)の悩みの1つが「転勤」です。中堅の規模以上のSMOにはキャリア構築や人員調整のために、他の都道府県への転勤の制度があります。特に新卒で入社した方や独身の男性、管理職になる方は転勤をお願いされる可能性が高いようです。ただし、転勤をお願いされる治験コーディネーター(CRC)の数はそれほど多くありませんから、転勤の条件に該当しない場合、過度に心配する必要はありません。
【転職の難易度】院内CRCのほうが難しい

院内CRCとSMOの転職難易度ランキング
- とても難しい
- 大学病院、国公立病院の院内CRC(正職員)
- 難しい
- 医療法人の院内CRC(正職員)
- 普通
- SMO(大手)のCRC(正職員)
- 簡単
- 院内CRC(非正職員)、SMO(中小)のCRC(正職員)

正職員の院内CRCへの転職は、医療資格が薬剤師などに限定されたり、治験コーディネーター(CRC)として3~5年以上の豊富な経験が求められたりするがあり、SMOよりも難しい場合が多いです。また、求人の数が少ないため、転職活動の期間が半年~1年と長期になることもあります。
ただし、院内CRCであっても非正職員への転職は簡単なことが多いです。年齢制限は院内CRC・SMOの治験コーディネーター(CRC)のどちらもCRC未経験者は35歳前後、CRC経験者は45歳前後ぐらいまでが多いです。
院内CRCとSMOで働くCRCの比較一覧表
院内CRC | SMOで働くCRC | |
病院 | 所属する組織 | 会社 |
気を使わない | 医療従事者への接し方 | 気を使う |
一人でなんでもこなすことが多い。 | 仕事内容 | 大手は分業制が多い。 |
狭い | 疾患の領域 | 広い |
医師が主導する試験が多い | 試験の種類 | 製薬会社から依頼される試験が多い |
多い | 担当する試験数 | 少ない |
原則、行わない。 | 医療行為 | 禁止 |
あまり上がらない。 | 給料 | 大きく上がることがある。 |
あり | 住宅手当 | なしが多い |
取り入れているところは少ない。 | フレックスタイム制 | 多くが取り入れている。 |
不可 | 在宅勤務 | 可能なところが増えている。 |
早い | 出勤時間 | 遅い |
大学病院は月に10~30時間前後、医療法人やクリニックは月に5~10時間前後 | 残業時間 | 月に10~20時間前後 |
|
休日 |
|
取得しにくい | 有給 | 取得しやすい |
正職員と非正職員がおよそ半々。 ※大学病院やがんセンターの正職員の比率は7~9割と高いが、国公立病院などは5割以下と低い。 | 雇用形態 | 9割以上が正職員。 |
固定 | 人間関係 | 流動的 |
病院やクリニックによる。 | 家庭との両立 | 時短制度などが整っているため比較的容易。 |
固定 | 勤務地 | 1年に平均して2~3回変わる。 |
ある | 異動 | ある |
ない | 転勤 | あることが多い。 |
薬剤師が有利、医療資格がない人はCRC経験があっても応募できないことが多い | 資格 | 看護師が有利、医療資格がなくてもCRC経験があれば応募できる |
35歳前後(CRC経験者の場合は45歳前後) | 応募時の年齢制限 | 35歳前後(CRC経験者の場合は45歳前後) |
女性が9割以上 | 男女比 | 女性は8割前後 |
0~3日前後が多い。ないことも多い。 | 入社時の座学の研修期間 | 1~3週間が多い。 |
2回が多い | 面接回数 | 2回が多い |
なしが多い | 適性検査 | ありが多い |
高い(病院・クリニックによる) | 転職難易度 | 普通(SMOによる) |
|
口癖 |
|
院内CRCを選んだ理由

院内CRCを選んだ理由ベスト2
- 1位
- 勤務地が変わらない
- 2位
- 他の医療従事者に気を使わなくてすむ

院内CRCを選んだ理由の1位は「勤務地が変わらない」です。勤務先の住所が変わらないことは、自宅の近くの病院・クリニックで働ける人にとって大きなメリットになるようです。
2位は「他の医療従事者に気を使わなくてすむ」です。ビジネスマナーに自信がない看護師や臨床検査技師にとって、他の医療従事者と接するときに気を使わなくてすむことは、院内CRCを選ぶ理由の一つになっています。
院内CRCを選んだ人の声
- 勤務地が変わらない点が魅力
- 前職の病院は自宅から15分の距離で、通勤がとても便利でした。治験コーディネーター(CRC)の仕事には興味はあったのですが、通勤時間が30分をこえることもあると聞き、ちょっと私には無理かなと思っていたところ、知り合いから近所の病院で院内CRCを募集していることを聞き、応募したら受かりました。やっぱり通勤時間が短いことって毎日のことなので大事だと思います。
- 新たなステップアップとして
- 前職ではSMOの治験コーディネーター(CRC)として長く働いてきました。役職にもつき5年が経過したころから、なんとなく次は院内CRCで働いてみたいと思うようになりました。仕事も慣れてきて、少しマンネリになっていたと思います。
入社時から比較すると給料も増えていたので、院内CRCから給料が結構下がる内定をもらった時は正直、動揺しました。ただ、残業も少ないという説明でしたので、給料よりもプライベートを重視しようと思い転職を決断しました。仕事は前職よりはまったりしていますね。気を使う場面も減りました。ただ、その分、給料もまったりしてしまったのがちょっと心残りです。
- 病院の職員としてプライドを持って働ける
- SMOから1年かけて院内CRCへ転職しました。院内CRCの求人は労働条件がマチマチで、なかなか良い条件の求人は少ないので、転職活動が長引きました。
これは相性だと思うのですが、私はやっぱり病院に所属して働くのが向いているのだと思います。今度の職場が大学病院なので、大学病院の職員としてプライドを持って働けるのは魅力です。
- 治験について専門性を高めたい
- 長い期間、SMOの治験コーディネーター(CRC)として働いていました。時々、通勤が遠くなることに多少の不満はあるものの、人間関係が良く特に不満らしい不満はありませんでした。ただ、治験コーディネーター(CRC)の友人が事務局業務やオンコロジー領域の業務も覚え、仕事の幅を広げているのを聞いたら、少し焦ってしまって・・・。
なぜなら、私が所属していたSMOは分業制になっていて、仕事の幅を広げることに限界があると感じていたからです。マネジメント方面はあまり興味がなく、もっと専門性を高めたいと考えていた時に、オンコロジー領域に特化した院内CRCの求人を見つけ、応募したら内定をもらえたので転職を決意しました。
院内CRCを辞めた人の声
- 突然、部署の異動をお願いされた。
- 大学病院で正職員の院内CRCとして働いていたのですが、約10年が経過するころに突然「病棟の看護師に戻るように」との辞令がありました。あまりにも突然でしたので、すごく動揺したことを覚えています。
異動は避けたいと何度もお願いしたのですが、辞令が覆ることはなく「病棟の看護師へ戻る」か「転職して治験コーディネーター(CRC)を続けるか」の選択を迫られました。
色々と悩んだのですが、転職して治験コーディネーター(CRC)を続ける場合、年収が大きく下がってしまうようでしたので、転職せずに同じ病院の病棟へ看護師として戻ることにしました。年齢も40を過ぎているため、夜勤に対応できるか不安です。
- 3年の期間満了により退職しました。
- 国公立病院の治験コーディネーター(CRC)として嘱託社員で働いていましたが、3年の契約期間が終わったため、退職しました。契約期間の延長の話もなく、後任も決まっているようでした。
与えられる仕事は正職員と変わりはないにもかかわらず、給与は低いままでしたので「体よく使い捨てにされたなあ」と感じています。気軽な気持ちで働き始めてしまったので、契約期間終了後のことをもう少し考えてから、働き始めれば良かったと少し後悔しています。
- お局様からパワハラを受け、早期退職となりました。
- 正職員の院内CRCとして働けると喜んでいたのも束の間、勤務初日から上司のパワハラを受け、2ヶ月で退職となりました。入職後に分かったのですが、今までに何人も同じ理由で退職になっているそうです。
40歳ぐらいの女性のベテラン薬剤師が治験の部署を仕切っており、逆らえる人はいないようでした。部署の人数も5~6人と少なく、相談相手もいなかったため精神的に病んでしまい、短い期間での退職になってしまいました。
短期での退職になってしまったため、次の職場を探すのにとても苦労しました。院内CRCがあれほど閉鎖的な職場だと知っていれば、もう少し慎重に選択したと悔やまれてなりません。
SMOを選んだ理由

SMOを選んだ理由ベスト4
- 1位
- CRC未経験者が安心して学べる
- 2位
- フレックスタイム制や在宅勤務が利用できる
- 3位
- 求人が多い
- 4位
- 会社で働きたい、視野を広げたい

SMOを選んだ理由の1位は「CRC未経験者が安心して学べる」です。初めて治験コーディネーター(CRC)へ転職するときは、誰しも不安が大きいものです。大手のSMOは教育制度が整っているため、「CRC未経験の私でも安心してCRCとして活躍できそう」と思われる方が多いようです。
2位は「フレックスタイム制や在宅勤務が利用できる」です。SMOは働き方の自由度が大きいと感じている方が多くいらっしゃいます。「フレックスタイム制は一度経験すると定時制には戻れない」「在宅勤務は楽」などの声が聞かれました。
3位は「求人数が多いため転職できるチャンスが大きかったこと」がランクインしました。4位は「病院以外のところで働いてみたい」「1ヶ所の病院で働くのは嫌だ」など、閉鎖的な病院の雰囲気が合わないという意見がありました。
SMOを選んだ人の声
- CRC未経験者への教育が充実している点が大きかった。
- やっぱり治験コーディネーター(CRC)への転職は不安があります。全く違う仕事なので、チャレンジするにも勇気がいるし、「私なんかにできるのかなあ」と不安に思っていました。
でも、応募者の多くがCRC未経験で、みんなきちんとした研修を受けて一人前になっていると聞いて、思い切ってチャレンジしてみようと思いました。やっぱり大手だけあって、独自の教材や研修システムなどもあり、安心して業務を覚えられました。専門の教育担当者がいるのも魅力です。
- フレックス制を一度でも経験してしまうと定時制には戻れない
- 院内CRCからSMOへ転職しましたが、働き方の自由度はSMOの方がはるかに上だと感じています。週に1~2回は在宅勤務が使えますし、フレックス制を一度でも経験してしまうと、もう定時制には戻りたくないと思います。自分の好きなように仕事を組め、休みも取りやすいです。業務が立て込まなければ精神的に余裕を持って働けると思います。
- 一度、会社で働いてみたかった。
- 病院ってすごく閉鎖的な空間だと思います。病院の中で一人前になっても社会では通用しないような気がしていて・・・。外部からかかってきた電話をどのように受ければ良いのかも分からない時があって、このままでは社会人としていつまでも一人前になれないような気がしていた時に、SMOのCRCの求人を見つけました。
最初にビジネスマナーの研修をきちんと受け、メールなどの書き方も教わりました。今では一般の会社で働いている友人とも自信を持って接することができます。
- 視野を広げてみたかった。
- 院内CRCだと病院の職員として働くので、看護業務がCRC業務に変わるだけで、労働環境に変化がないと思いました。転職するのであれば、違う業界で働いてみたいと考え、思い切ってSMOの治験コーディネーター(CRC)へと転職しました。
現在は治験コーディネーター(CRC)として働いて3年目になりますが、昔は自分の視野が狭かったなあと思います。病院のことしか知らなかったですもんね。
今は良くも悪くも世の中のことが色々と分かってきて、色々と見えてきた部分があります。ただ、悪いことも見えるようになってしまったので、何も知らないことは、それはそれで幸福なのかもしれません。
- 成長できる機会が大きいと考えた。
- 将来はマネジメント業務にも携わりたいと考えていました。病院に雇用されて働くと、CRCの人数は多くても10~20人しかおらず、管理職は薬剤師や医師であることが多いと聞いていました。
SMOであれば、薬剤師や医師以外でも管理職になれるチャンスがあるだけでなく、ポストもたくさんあると思いました。将来はマネジメント業務などの自分がより成長できる業務に携われる機会が多いと考え、SMOを選びました。
- 院内CRCの求人はCRC経験者優遇となっていた。
- 治験コーディネーター(CRC)へ初めて転職するときには、院内CRCなのか、SMOなのかに特にこだわりはありませんでした。住んでいる場所には私が応募できる求人はSMOしかなかったので、CRC未経験者の私に院内CRCのという選択肢はありませんでした。
とにかく、CRCにならなければいけないと思っていたので、CRC未経験の私でも採用してくれるところを優先して応募していきました。その結果、なんとか内定を取得することができたので、ほっと一安心しているところです。
よくある質問とみんなの回答
- Q
- 院内CRCはSMOより年収が低いのでしょうか。
- A
-
院内CRCの求人もケースバイケースですので一概には申し上げられませんが、院内CRCの年収が特に低いということはなく、大学病院等の先端医療施設の正職員はSMOよりも高いと思います。
医療法人で同じぐらいでしょうか。ただし医療法人はSMOよりもお休みが少ないかもしれません。
院内CRCは病院基準での年収設定が行われることが多いため、検査技師や栄養士、無資格者の年収が低くなったりします。そのため、検査技師や栄養士の方であればSMOのほうが年収が高くなることが多いでしょう。逆に薬剤師の方であれば院内CRCのほうが年収が高くなると思います。
治験専門病院の年収は労働環境が悪いうえに年収が低いことも多いですし、地方だと契約社員の年収が低く設定されていることが多いため、全体で見れば院内CRCのほうが若干低いと言えるかもしれません。
- Q
- 院内CRCは仕事のスピードをあまり要求されないのでしょうか。
- A
-
私は院内CRC(非常勤)→SMO CRCに転職したものです。
院内CRCの場合、難易度の高い試験(急性期治験やグローバル試験、医師主導治験など)を5試験以上担当し、部署の過去5年間の売り上げ平均が常勤CRC数の増減に影響するところもあります。
最近は病院も企業と同じように仕事スピードも要求されるように感じます。
- Q
- 院内crcの求人の見つけ方
- A
-
以下のページで院内CRCに限定して求人を探すことができます。
https://crc-bank.com/innaicrc
(院内CRCの治験コーディネーターの求人募集)
- Q
- 院内CRCは安定しているでしょうか?
- A
-
とある大手の医療法人で院内CRCとして働いています。数年前から賞与が下がり始め、現在は入職時の約半分にまで減りました。
昔ならともかく、このご時世では、大学病院を除けば院内CRCで良い年収をもらっている人は少ないんではないでしょうか。
安定しているのは大学病院と国立の正社員のCRCのみです。市立や医療法人はもうだめです。
- Q
- SMO所属の治験コーディネーターのメリットは何でしょう?
- A
-
私は院内CRCとSMOのCRCのどちらも経験しました。
院内CRCではなくSMOに所属しているメリットについてまとめてみましたので参考にしてください。
1)治験コーディネーターの業務に専念できる。
院内CRCは治験以外の業務を兼務することも多いです。そのため、治験だけをやりたい人にとってはSMOのほうが良いと思います。
院内CRCへ転職してみたら、治験の仕事はほとんどなく、毎日、看護ばかりという人もいると聞きました。
2)治験の仕事の量が安定する。
院内CRCの場合、病院で実施できる試験の領域や数に限りがあります。そのため、自分の病院で実施できない治験が増えてしまうと試験の数も減ってしまいます。
その結果、治験コーディネーターから看護師や臨床検査技師へ戻ることになります。
せっかく、治験コーディネーターになりたくて院内CRCになったのに、フタを開けてみたら病棟看護師をしていた、なんてことが発生しやすいです。
ですから、院内CRCの雇用形態は正社員ではなく契約社員や嘱託社員が多いのだと思います。
SMOの治験コーディネーターは治験の内容や量に合わせて職場(病院)を変えます。試験の数が減っても別の病院へ異動するため、仕事の量はそれほど変わりません。SMOの治験コーディネーターは仕事の量が安定していると言えます。
3)正社員として働ける。
上でも述べましたが、病院で実施できる試験の数は多かったり、少なかったり変化します。病院側から見ると治験を行って得られる利益は安定しないということになります。
治験が少なければ当然、赤字になります。赤字になったら社員を減らさなければなりません。そのため、病院は治験コーディネーターを正社員で雇用することを避け、仕事が減ったら雇用を終了させられる契約社員や嘱託社員として採用する場合が多くなります。
SMOの治験コーディネーターは最初の半年ぐらいは契約社員のところもあるようですが、基本的には正社員として働いている人がほとんどです。これは、仕事の量が安定しているからできることで、SMOの治験コーディネーターのメリットと言えます。
4)教育研修制度が充実している。
一つの病院で働いている治験コーディネーターの数は3~8人前後のところが多いと思います。つまり院内CRCの場合、教育や研修のノウハウの蓄積はなく、都度、みんなで勉強していくことになります。そのため、先輩から教えてもらっても、本当にこのやり方であっているのかいまいち自信が持てない場面が多いです。
SMOに所属する治験コーディネーターの数は大手ですと300人とか1000人とか、とても多いです。ですから、教育や研修のノウハウが蓄積されているので、SMOの治験コーディネーターのほうがしっかりとした教育を受けられると思います。
- Q
- 未経験からの院内CRCへ転職できますか?
- A
-
可能性がないわけではありません。実際に未経験から中途採用で大学病院の正職員の治験コーディネーター(CRC)になっている方もいらっしゃいます。
ただし、「現実的な選択か?」と聞かれるなら、返答は「いいえ」です。なぜなら、仮に未経験者が応募できる求人があったとしても、経験者も応募できるからです。
つまり、未経験から大学病院などの院内CRCになるためには、以下の1)~4)を全て満たす必要があります。
1)未経験者も応募できる。(正社員の求人に限れば募集のうち1~2割ほど)
2)医療資格や臨床経験などの条件も満たしている。(臨床経験2年前後の看護師を対象とした募集は5~7割ぐらい)
3)他のCRC経験者の応募者がない、もしくは、CRC経験者だけでは募集定員を満たせない。
4)他の未経験者の応募者を上回る評価をもらう。
※ただし、院内CRCであっても治験専門病院や非正社員の場合を除く
以下のURLも役に立つと思いますので、ご参考ください。
https://crc-bank.com/innaicrctosmocrcnochigai#b5
(院内CRCとSMOの転職難易度)
https://crc-bank.com/crctyuui2#a3
(SMOから院内CRCへの転職の難易度)
https://crc-bank.com/innaicrc?tagu6=1
(院内CRCの治験コーディネーターの求人募集)
https://crc-bank.com/seikoujireinum?num=42
(未経験で院内CRCへ転職成功)
- Q
- SMOのCRCは立場が弱いですか?
- A
-
病院によって違いますが、主な医療従事者のヒエラルキー(序列)は高い順から以下のようになると思います。
------------
1)医師
2)看護師
3)薬剤師
4)臨床検査技師、管理栄養士、臨床工学技士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士など →治験コーディネーター(CRC)はココ
5)介護士、看護助手、医療事務
------------
看護師と薬剤師のどちらが高いかは意見が分かれると思いますが、「薬剤師は頭が良くて尊敬されているが、数が多くて発言力の強い看護師には敵わない」という声が多いです。
治験コーディネーター(CRC)の位置は4)、もしくは4)と5)の間という声が多いです。SMO・院内CRCのどちらであっても大きな差は見られません。
治験コーディネーター(CRC)の立場が弱い主な理由は「国家資格者でないから」だと思います。治験コーディネーター(CRC)の仕事は国家資格がなくても携わることができるため、国家資格の種類によってヒエラルキーが決まる病院内ではどうしても低く見られやすくなります。
治験コーディネーター(CRC)が薬剤師や看護師などの資格を所持していても、周囲の医療従事者に伝える機会は多くありません。また、治験コーディネーター(CRC)の資格が国家資格になる可能性は現時点では低そうです。
他の理由として「知名度が低いから」「裏方だから」という声もしばしば聞かれます。
治験コーディネーター(CRC)と会ったことがない医療従事者は現在でも多くいらっしゃるため、治験コーディネーター(CRC)を見たときに「何をやっているか分からない謎の人」と思われやすいです。また、治験コーディネーター(CRC)の業務は裏で調整を行ったり事務をしていることが多いため黒子のような存在と言えます。目立たない黒子は立場が高くなりにくいです。
他にも、SMOに所属している治験コーディネーター(CRC)は病院の外部の人のためぞんざいな扱いを受けやすいという声も聞かれます。
<治験コーディネーター(CRC)を立場が低いと感じる人の多くは臨床経験3年以上の看護師>
SMOの治験コーディネーター(CRC)の立場が低いと感じる人は主に、治験コーディネーター(CRC)になって日の浅い看護師です。臨床検査技師や管理栄養士、薬剤師などが同じように思うことは看護師よりも全然少ないようです。
治験コーディネーター(CRC)になって日が浅いうちは、周囲から頼りにされることは少ないです。看護師として数年の経験を積み周りから頼られていたときと比べた結果、「治験コーディネーター(CRC)の立場は看護師より低いなあ」と強く思ってしまうようです。その証拠に治験コーディネーター(CRC)として一人前になる頃には、そのような不満はかなり減少している方が多いです。
つまり、バリバリと現場の一線で仕事をされていた看護師が治験コーディネーター(CRC)になって右も左も分からず無力感を感じるときに、治験コーディネーター(CRC)の立場の低さを強く感じると言えそうです。
<「外部の人だからぞんざいな扱いを受ける」は誤解であることも多い>
SMOの治験コーディネーター(CRC)が外部の人という理由で冷たく扱われてしまうときもあれば、逆に丁寧に扱われることもあります。こちらの記事をご覧になっている医療従事者様は、外部の人に必ず冷たく接されていますでしょうか? 逆に丁寧に接するときもあるのではないでしょうか?
冷たく扱われていると感じる治験コーディネーター(CRC)の多くは治験コーディネーター(CRC)になって日が浅い人です。治験の専門家だと期待していたら何を聞いても「上に確認して後から返答します」では、冷たく扱われても仕方がありません。治験コーディネーター(CRC)になって一人前になる頃には、外部の人間という理由で冷たく扱われると感じることは大きく減ります。
つまり、外部の人だからぞんざいな扱いを受けるというより、治験コーディネーター(CRC)としての能力が低く周囲から頼りにされないためぞんざいな扱いを受けるというのが事実のようです。
ただし、SMOの治験コーディネーター(CRC)は病院の外部の人ですから、病院で働く医療従事者への配慮が重要であることに変わりはありません。