治験コーディネーター(CRC)の面接に落ちる人に共通する特徴は、治験コーディネーター(CRC)の面接で求められる「心構え」の理解ができていないことです。
そのため、何らかの理由で面接官に「治験コーディネーター(CRC)としてふさわしくない」と思われてしまい、残念ながら不採用となってしまいます。
こちらの記事では、「CRC未経験者」と「CRC経験者」のそれぞれについて、面接で不採用になる理由を6つのランキング形式にまとめたうえで、どのように対策をすれば良いか解説します。
もし、あなたが面接に落ちてしまったのであれば、次の面接を受ける前にこちらの記事に目を通してみてはいかがでしょうか。きっと何か思い当たることがあるはずです。
CRCの面接の心構えと不採用の理由
CRC未経験者の面接の心構えと不採用の理由
面接で不採用にした理由(資格別)
※CRCばんくが独自に集計した100名以上の不採用データ(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=100~120)より。※複数回答あり
治験コーディネーター(CRC)の面接で、CRC未経験者が不採用になる理由は主に以上の6つです。逆の言い方をすれば、この6つの理由に当てはまらないように心がければ、面接で採用される可能性が高くなると言えるでしょう。
面接を受ける前に、ご自身に当てはまる項目がないかをチェックして、当てはまる内容があれば修正したうえで面接を受けましょう。
不採用の理由1位は「コミュニケーション力に不安を感じた」
採用担当者が応募者を不採用にした理由で、最も多かったのは「コミュニケーション力に不安を感じた」でした。具体的には
- 会話のキャッチボールができなかった
- 会話がかみ合わなかった
- 話の最中に目線が全然、合わなかった
- 笑顔がなく、表情がぎこちない
- 敬語が使えないようでお客様への対応に不安を感じた
- うなずきがないのでこちらの話を聞いているのか分からない
- 話し方が幼いので不安
- 棒読みでマニュアルを読み上げているみたいだ
などです。
棒読みにならないようにするには?
面接のために準備した回答をそのまま述べると、採用担当者から「回答が棒読みで臨機応変な対応に不安がある」という評価をもらいやすくなります。
面接で「棒読み」と評価されないためには、準備した回答をそのまま述べることは避け、「質問に対して寸分のずれがない適切な回答であること」「会話の前後の流れを途切れさせない回答であること」の両方が必要です。
声を大きく小さくしたり、スピードを早くしたり遅くしたりしても、会話の流れを途切れさせたり、質問への適切な返答ができない限り、採用担当者は「棒読み」と評価しますのでご注意ください。
治験コーディネーター(CRC)の主な仕事の一つは各部署の調整業務になるため、様々な立場の人とスムーズな意思の疎通ができるコミュニケーション力は必須の能力となります。
そのため、面接でコミュニケーション力に不安があると思われてしまうと、治験コーディネーター(CRC)への適正がないと判断され、面接で不採用になってしまうようです。
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CRC未経験者の面接の心構え 《その1》
- 相手の「目」をきちんと見て話す
- 話を聞くときは「うなづき」と「笑顔」を意識する
- 「丁寧な言葉遣い」でしっかりと話す
- 「背筋が伸びた姿勢」「清潔な身だしなみ」「キビキビとした立ち居振る舞い」を心がける
- 事前に準備した内容を「自然に話せるよう」に練習しておく
- 一方通行に話すのではなく、「会話のキャッチボール」を意識する
内定者と不採用者のコミュニケーションの違い
内定を獲得できる人 | 不採用になる人 | |
常に話す人を方向を向いて話したり、聞いたりできる。きちんとうなづける。 | 目線 | 下を向いている。伏せ目がち。 |
面接の最後まで常に意識をして話せる。敬語が完璧に使えるわけではないが、丁寧な言葉で話せる。 | 敬語 | 友達と話す時と同じ言葉遣い。敬語がほとんど使えない。 |
面接の後半には笑顔が出てくる。目がキラキラしていて力がある。 | 表情 | 終始、無表情である。目が死んでいる。 |
最初は緊張するが、途中からほぐれてくる。 | 緊張 | 最後まで緊張が解けない。 |
清潔感がある髪型や服装である。化粧もきちんとしている。 | 身だしなみ | 服にシワがあり、汚れている。化粧が下手。 |
年齢よりも大人びている。しっかりしている | 印象 | 幼い。頼りない。 |
多い。一つ一つの返答が短いため、会話のキャッチボールの回数が増える。 | 会話が行き来する回数 | 少ない。一つ一つの返答が長く、会話が一方通行になりがち。 |
最初に述べた後に、簡潔に理由を話せる。 | 結論 | 理由からスタートし、結論があいまいなまま終わる。 |
暗記した内容をそのまま話す場面はほとんどない。質問に対して都度、的確な返答を考えたうえで、自分の言葉で説明できる。 | 内容 | 暗記した内容を説明しようとする意識が強すぎるため、面接官の意図した返答ができていない場合が多い。 |
ほとんど発生しない。難しい質問に対しても、なんとかアドリブで乗りきれる。 | 沈黙 | 3回以上発生する。 |
治験業界の専門用語を織り交ぜながらは話せる。 | 専門性 | 専門用語に自信がないため、あいまいな返答に終始する。 |
用意していた返答のうち、面接で話せたのは一部だけ。 | 面接後の感想 | 用意していた返答の全てを面接で話せた。 |
結論ファーストとは?
理由や経緯からではなく、結論から伝える話し方のことです。結論ファーストの逆は、結論を最後に話す結論ラストになります。
結論ファーストは以下のメリットがあります。
- 説明を短くしても意味が伝わる
- 結論が曖昧な回答になることを避けられる
- 質問に的確に返答できる
結論ファーストは説明が分かりやすいため会話がはずみます。その結果、面接に通過しやすくなります。
結論ラストは以下のデメリットがあります。
- 話がだらだらと長くなる
- 何が言いたかったのかを途中で忘れてしまいやすい
- 質問を理解する前に話し始めてしまう
結論ラストは説明が分かりにくいため会話が一方通行になります。その結果、面接に通過しにくくなります。
<結論ファーストと結論ラストの例>
「どのような種類のスマートフォンを買えば良いと思いますか?」
結論ファーストの回答 「iphone△です。(phone△は●●ですし、◆◆だと思うからです。)」
結論ファーストは()内を省略しても意味が通じるため、相手の反応によって説明を長くしたり短くしたりできます。聞く人にとっても結論が明確で分かりやすいです。
結論ラストの回答 「●●ですし、◆◆だと思いますので、iphone△を買うのが良いと思います。」
結論ラストは途中を省略すると意味が通じなくなるため、説明を短くすることができません。また、聞く人にとっては結論が曖昧で分かりにくいです。
面接官から質問されたときに、すぐに話し始めることは避けましょう。質問内容をきちんと理解し、結論が明確になってから、結論ファーストで話すようにしましょう。
模擬面接をくり返し行って、面接の時だけでもスムーズなやりとりができるように練習するしかありません。
不採用の理由2位は「志望動機があいまい」
採用担当者が応募者を不採用にした理由で、2番目に多かったのは「志望動機があいまい」でした。具体的には
- CRCへの熱意を感じなかった
- CRCの仕事内容を理解していないようだ
- CRCについてあまり勉強していないようだ
- 被験者とのやりとりが、CRCの仕事の全てだと思っているようだ
- 将来、どのようなCRCになりたいかが分からない
- CRCの業務内容を誤解している
- CRCの仕事の大変な部分を理解していない
などです。
治験コーディネーター(CRC)を志望する理由があいまいですと、面接官は「この人からはやる気が感じられないな。採用してもすぐ辞めてしまうかもしれないな。」と思うようです。
また、治験コーディネーター(CRC)の仕事の内容を理解していなかったり、仕事の内容を誤解していたりすると、応募に対する本気度に?マークがつくため、面接で不採用になってしまうことが多いようです。
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CRC未経験者の面接の心構え 《その2》
- CRCの仕事内容をきちんと調べて、「自分なりのCRC像」をイメージしておく
- 被験者とのやりとりは「CRCの仕事の一部にすぎない」ことを理解しておく
- CRCの仕事の「大変な部分」を言えるようにしておく
内定者と不採用者の志望動機の違い
内定を獲得できる人 | 不採用になる人 | |
治験業界で働きたい理由が明確に説明できる。 | なぜ治験業界で働きたいか | 説明できない。 |
他の職種ではなく、なぜCRCであるかの理由がきちんと説明できている。 | なぜCRCになりたいか | CRCになりたい理由が他の職種でも流用できる内容になっている。 |
専門用語を織り交ぜながら1分以上話すことができる。 | 仕事内容の説明 | 専門用語を覚えていないうえに、説明できる時間が20秒以内と短い。 |
1・3・5年後、どのようなCRCになりたいかを具体的に説明できる。 | 将来像の説明 | 一人前になりたい、信頼できるCRCになりたいなど、将来像があいまい。 |
あなたの経験をもとにしたオンリーワンの志望動機を時間をかけて作ることが、結局は内定への最短距離となります。
不採用の理由3位は「残業への対応に不安を感じた」
採用担当者が応募者を不採用にした理由で、3番目に多かったのは「残業への対応に不安を感じた」でした。具体的には
- 子供の送り迎えがあり、残業への対応に不安を感じる
- 残業や出張について抵抗感を持っているようだ
- 早出が余りできないようだ
- 土曜日に出勤があると伝えたら嫌な顔をした
- 家庭と仕事の両立について安易に考えているようだ
などです。
主にお子様がいらっしゃる方の場合、残業がどれぐらい可能なのかを必ず聞かれます。子供の送り迎えなどの理由で残業ができないと返答すると、残念ながら不採用となってしまうことが多いようです。
また、治験コーディネーター(CRC)の仕事は「残業」「土曜出勤」「出張」などが発生することがあります。そのため、残業などに対して後ろ向きの発言をする応募者に対し、面接官は不安に感じて不採用にすることも多いです。
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CRC未経験者の面接の心構え 《その3》
- 子供の送り迎えが仕事に影響しないことをアピールする
- 「残業」「出張」「土曜出勤」に抵抗がないことを伝える
- 家庭と仕事の両立についての「覚悟」を示す
要は社会人として大人の返答が求められていると言えるでしょう。自分自身で判断することは難しいため、友人などの第三者にチェックしてもらうといいようです。
不採用の理由4位は「元気さが足りない」
採用担当者が応募者を不採用にした理由で、4番目に多かったのは「元気さが足りない」でした。具体的には
- 元気がない
- 覇気がない
- 暗い
- 鬱っぽい
などです。
治験コーディネーター(CRC)に求める要素の一つに「明るい性格」「元気であること」などがあげられます。
性格が暗そうだったり、元気さが足りなかったりすると、面接官は被験者や製薬会社との対応業務に不安を感じるため、治験コーディネーター(CRC)への適正がないと判断して、不採用にすることが多いようです。
治験コーディネーター(CRC)に限りませんが、いつの時代も、企業は元気で明るい人を求めていることが多いようです。
CRC未経験者の面接の心構え 《その4》
- 面接では明るく元気にハキハキとふるまう
そのため、本人は元気よく明るくふるまったつもりでも、採用担当者からは元気がない人と評価されてしまうことも多いようです。
元気で明るい人はいつもの自分より元気1.2倍増し、普通の人は元気1.5倍増し、元気がなくて暗い人は元気10倍増しぐらいを心がけましょう。
不採用の理由5位は「仕事が長く続かなさそう」
採用担当者が応募者を不採用にした理由で、5番目に多かったのは「仕事が長く続かなさそう」でした。具体的には
- 臨床との違いが分かっていない
- 転職回数が多くてすぐに辞めちゃいそう
- 子供ができたらすぐに辞めちゃいそう
- 妊娠までのつなぎの仕事だと思っているようだ
などです。
臨床との違いをきちんと理解していないと、治験コーディネーター(CRC)へ転職した後に「思っていた仕事と違った」と思いやすく、最悪の場合に退職につながってしまいます。そのため、面接官は臨床との違いをきちんと理解できているかどうかを面接で確認することが多いです。
他にも、「転職回数が多い」「退職理由がわがまま」「妊娠までのつなぎだと思っている」などの理由で治験コーディネーター(CRC)に転職しても、すぐに辞めてしまう可能性が高いと面接官に思われると、不採用になる可能性が高くなります。
特にCRC未経験からの転職の場合、入社から半年間前後は治験コーディネーター(CRC)の育成期間になるため、入社後2年以内に退職する可能性がある人の採用を避ける傾向があるようです。
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CRC未経験者の面接の心構え 《その5》
- 前もって「臨床との違い」を正確に理解しておく
- 「長期的」に仕事に取り組むつもりであることを伝える
- 「子供ができても仕事を続ける」意思があることを伝える
- 入社後、最低でも「2年以上は仕事に専念する」意向であることを伝える
臨床の現場で働く医療資格者との違い
医療資格者 | CRC | |
ある。 | 医療行為 | 基本的にはない。 |
少ない。 | 事務作業 | 多い。 |
あまり必要ない。 | 事務スキル | 必要。 |
看護師・薬剤師は高い場合が多い。 | 地位 | 低い。 |
それほど必要ない。 | ビジネスマナー | SMOの場合は必要。 |
看護の精神に従って仕事ができるため、悩む場面は少ない。 | 良心の呵責 | 看護の精神と異なる場面があり悩む時がある。割りきった考えが必要な場面も発生する。 |
トータルでは多いが、一人一人に対して接する時間は少ない。 | 患者様と接する時間 | トータルでは少ないが、一人一人に対して接する時間は多い。 |
患者様の治療。 | 目標 | 薬を市販するためのデータ集め。 |
近いうちに出産を真剣に考えている人は、応募するかどうかも含めて、もう一度ご自身のキャリアプランについて真剣に見つめなおす必要があります。小手先の嘘は見ぬかれてしまいますよ。
不採用の理由6位は「ストレスの耐性が低そう」
採用担当者が応募者を不採用にした理由で、6番目に多かったのは、「ストレスの耐性が低そう」でした。具体的には
- ストレスに弱そうな感じを受けた
- 医者や看護師から厳しいことを言われたらすぐに辞めちゃいそう
- ストレスをためこむ性格だと感じた
- 退職理由からストレス耐性が低い人だと判断した
などです。
治験コーディネーター(CRC)の業務は、各部署の利害の間にはさまれるため「ストレスが多くかかる」と言われています。そのため、ストレス耐性の有無は採用基準の重要な項目となっています。
面接でストレス耐性が低いと判断されてしまうと「治験コーディネーター(CRC)の業務をスムーズに進めることができない可能性がある人物」と思われてしまうため、面接で不採用となってしまうことが多いようです。
CRC未経験者の面接の心構え 《その6》
- ストレスに強いことを伝える
- ストレスに弱い人の場合は「自分なりの気分転換の方法」や「ストレスの解消方法があること」を伝える
「ストレスに弱い」と伝えるのではなく、「どちらかと言えば弱い」と伝えることがポイントです。
よくある質問とみんなの回答
- Q
- 面接で治験コーディネーターの退職金の金額について質問しても良いでしょうか?
- A
-
前職の退職金については皆様触れてらっしゃるので、CRCの退職金についてお話させていただこうかと思います。
勤め先のSMOにもよると思いますが、私が以前勤めていたSMOでは退職金はなく、退職手当という形で毎月の給与の中に手当てがついておりました。
印象から申しますと、この形態での退職金の付与は「退職金って少ないな」という印象でした。残業代をつけなければ給与はただでさえ低いと感じでいたので、今思うと正直なところ退職金がついてあれだけだったのかと感じてしまいます。
面接の際に退職金について聞く方はあまりいらっしゃらないのかなと思います。ただ、転職の際に重要な条件のひとつであることは間違いないと思いますので、退職金について聞かれる際にはネガティブな印象を持たれないように上手に聞いてみるかのがいいと思います。
SMOによって退職金の付与形態は様々だと思いますので、私があげた形態はほんの一例だと思ってください。
後は、気になる転職先SMOの口コミ等を調べたら退職金等についての話も記載されているかもしれません。
- Q
- 治験コーディネーターの面接が苦手です。
- A
-
私も面接時は緊張しました。ですが、面接のための準備も、ある程度必要だと思います。特に、CRCとして自分がやりたい事を整理し、具体的にどういうことをしたいのか考えることは大切だと思います。
抽象的なぼんやりした考え方をする人よりも、具体的にその会社で何をしたいか主張できる人はその会社にとってもやはり魅力的ですよね。
面接官は、あなたが用意してきた質問の答えを知りたいのではなく、あなたがどんな考え方をしてどんな行動をするか、また、実際にどんな風に働くことができるのかを知りたいと思います。
そのためには、勿論、CRCがどんな仕事なのかもよく理解しておいてくださいね。
頑張ってください。