
看護師が治験コーディネーター(CRC)へ転職する時に注意すべき点を解説しています。
看護師は治験コーディネーター(CRC)へ転職しやすいと言われていますが、実際には看護師ならではの注意すべき点がいくつかあります。
こちらでは「応募先(SMO・病院)の選択」「応募書類の作成」「面接」「退職手続き」の4つに分けて、看護師が治験コーディネーター(CRC)へ転職する際に、特に気をつけるべきことを徹底的にアドバイスしています。
看護師の方は事前にこちらの記事に目を通して、治験コーディネーター(CRC)への転職活動を有利に進めましょう。
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応募先(SMO・病院)の選択について

看護師が応募先を選ぶときには「看護師の比率」「得意な領域」「年収・給料」の3つをチェックする

看護師のCRC比率をチェック

看護師出身の治験コーディネーター(CRC)の人数が多いほど、働きやすい環境であると言えます。そのため、応募先(SMO・病院)の治験コーディネーター(CRC)のうち、何割ぐらいが看護師であるかをホームページなどから調べます。
看護師比率が高いSMO
※アルメックは新日本科学臨床薬理研究所の時のデータ
※比率は不明だが「医療システム研究所」「クリニカルサポート」の2社も看護師比率が高い

例えば、同僚や上司が看護師出身だと「夜勤辛かったよね~」「看護実習の時は泣きそうだった」「病院は給与が良いから正直に言うと転職を迷った」「医療スキルが衰えることについて不安にならない?」などの会話ができるため、初対面であっても打ち解けやすく、余計な配慮をすることなく一緒に仕事ができる可能性が高くなりますよ。

得意な領域をチェック

病院で経験した領域、もしくは治験コーディネーター(CRC)として携わりたい領域が応募先(SMO・病院)の治験実績の上位に入っているかどうかを確認します。
看護師は幅広い領域の治験に対応できるため、経験した領域と治験実績が合致しなくても、それほど神経質になる必要はありません。
ただし、逆の言い方をすれば看護師は幅広い領域の治験に携われるにも関わらず、特定の領域に治験実績が偏っているSMO・病院へ転職してしまうと、将来のキャリア形成が思うようにできない場合があると言えます。
また、がん(オンコロジー)などの一部の領域は積極的に治験を行っているSMO・病院は限られているため、事前に確認しておきましょう。

それに対して、手術室(オペ)やクリニックなどで働いていた看護師さんは、携わりたい治験の領域にあまりこだわりがない方が多いようです。
年収・給料をチェック

治験コーディネーター(CRC)へ転職すると、給料・年収が下がる可能性があることを知っている看護師さんは多いと思います。
とは言え、年収が大きく下がると治験コーディネーター(CRC)への転職をためらってしまう看護師さんが増えるのも事実です。
そのため、治験コーディネーター(CRC)へ転職した際に給料・年収がどれぐらいになるかを事前に把握しておきましょう。SMO・病院によっては看護師資格を持っていると、資格手当などをつけて給料を特別に高く設定しているところもあります。
看護師の給料が高く設定されている企業一例
- 詳しくはこちら
- 看護師出身CRCの年収給料
- 年収査定
看護師からCRCへ転職した時の年収
※120名のCRCばんくの口コミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2018年3月、有効回答数:N=120)。(残業代は除く)
看護師とCRCの年収比較
※120名のCRCばんくの口コミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2018年3月、有効回答数:N=120)。
※看護師は2016年の賃金構造基本統計調査のデータを独自に加工して作成。。

特に東京や大阪などの大きな都市で働いている看護師は、500万を超える年収をもらっていることも多いため、治験コーディネーター(CRC)へ転職する際は給料がいくらになるかをシビアに考える人が多いです。
それに対して地方で働いている看護師はそれほど給与が高くないことが多いため、治験コーディネーター(CRC)へ転職した際の収入面については、さほど気にしない人が多いです。
いずれにしても、治験コーディネーター(CRC)へ転職した際にたくさんの給料がもらえるに越したことはないですよね。

例えば、「マンションや家を購入したい」「子供を学費の高い学校へ通わせたい」と考え、急に年収を増やそうと思っても、病院ほど転職先を選べませんし、夜勤シフトへ多く入ることや働く時間を多くすることによって年収を増やすことも難しいと言えます。また、パートとして働くことも困難であることが多いです。
そのため、将来的な収入計画をきちんと立てたうえで、治験コーディネーター(CRC)へ転職されることをオススメします。
応募書類の作成について

きちんとした応募書類が書けていないと、看護師であっても書類選考で落とされる

看護師が病院へ転職する場合、簡単な履歴書と経歴書だけで選考に通過してしまうことが多いです。そのため、看護師のなかにはきちんとした履歴書や職務経歴書を作成したことがない人が多くいらっしゃいます。
しかし、治験コーディネーター(CRC)への転職では看護師であっても、きちんとした応募書類が書けていないと、書類選考で不通過になる可能性が高くなるため気をつけましょう。また、他の特徴として、応募書類を手書きで作成する看護師の方が時々見受けられます。
以下では看護師が応募書類を作成する際に特に注意べき3つのポイント「手書きの応募書類」「志望動機」「自己PR」についてまとめましたので、応募書類を作成する際に参考にしてください。
手書きの応募書類でも大丈夫

臨床検査技師や薬剤師がほぼ100%、エクセルやワードなどパソコンで応募書類を作成するのに対して、看護師は現在も1~2割の方は手書きで応募書類を作成されているようです。
なぜなら、病院の寮に住んでいる多くの看護師はパソコンを持っていないことが多いからです。また、パソコンが苦手な看護師も多くいらっしゃるようです。
治験コーディネーター(CRC)への転職に限れば、手書きの応募書類によって、書類選考が不利になることはほとんどないため心配する必要はありません。
応募書類の作成方法
※50名のCRCばんくの口コミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2018年3月、有効回答数:N=50)。
ただし、手書きで応募書類を作成する場合はいくつか注意点があります。
- 応募書類を作成するために多くの時間が必要になる
手書きで応募書類を作成する場合はパソコンと比較すると修正が簡単にできないため、時間がかかります。また、複数のSMO・病院へ応募する場合は、応募書類を作成するために倍の時間が必要となるため、それだけ他の応募者よりも不利になると言えます。
- 字の奇麗さが評価に影響する
治験コーディネーター(CRC)の選考では字の奇麗さが評価に影響します。パソコンで作成する場合は、字が上手でも下手でも面接官は分かりませんが、手書きの場合、字が奇麗でない人は書類選考通過率が下がるため注意が必要です。よって、字を書くことが得意でない人は、友人からパソコンを借りるなど、工夫が必要と言えます。
- パソコンスキルを面接でアピールする
治験コーディネーター(CRC)の仕事は事務作業が多いため、パソコンスキルが必須です。パソコンで応募書類を作成すれば、同時に最低限のパソコンスキルがあることを証明できますが、手書きの場合は証明できないため、面接などでパソコンスキルがあることを説明する必要があります。
志望動機は時間をかけて作成する

病院の転職市場において看護師は常に人手不足です。そのため、「ぜひ貴院で働かせてください」と、ことさら志望動機をアピールする必要はなく、面接へ行った瞬間に内定が決まることもしばしば発生します。
しかし、治験コーディネーター(CRC)の転職市場は応募者のほうが多いです。そのため、病院へ転職するのと同じ感じで応募すると不採用になってしまう可能性が高くなります。病院へ応募するのと、治験コーディネーター(CRC)へ応募するのとでは、選考難易度が全く異なっていることを前もって肝に命じておきましょう。
CRC未経験者の通過率
※CRCばんくの口コミ・アンケート調査データ、主要SMOのヒアリング調査をもとに作成。
CRC未経験者の合格率
※200名のCRCばんくの口コミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2018年3月、有効回答数:N=200)。
臨床検査技師や管理栄養士は看護師ほど転職市場が売り手市場でないため、当然のように志望動機をきちんと時間をかけて作成される方が多いです。
しかし、看護師は治験コーディネーター(CRC)への転職を病院と同じように考え「え?応募すれば何もしなくても内定が取れるよ。選考って何?今まで不採用になったことなんて一度もないよ」と、同じような準備で応募した結果、臨床検査技師などに選考で負けてしまうことがあります。
治験コーディネーター(CRC)への転職にあたり、他の応募者は時間をかけて準備をしていることを理解しておきましょう。
- 看護師の志望動機サンプル(1)
- 病院では化学療法中の難病患者を担当する機会が多くありました。そこでは、新薬の登場を心待ちにしている患者様の切実な声を聞くことが多く、看護業務以外に患者様のために自分にできることがあるのではないかと考えている時に、治験コーディネーター(CRC)の仕事を知りました。
今後は治験コーディネーター(CRC)として、新薬の開発をサポートすることによって、病気で苦しむ全国の患者様の症状を緩和するために頑張りたいと思います。
- 看護師の志望動機サンプル(2)
- 治験コーディネーター(CRC)として患者様の役に立ちたいと思い応募いたしました。
私の親類は抗癌剤治療をしています。色々な薬剤を投与していますが、次第に効果が薄れていく様子を目のあたりにし、看護師として力になれない歯がゆさを感じていたました。
その後、何か役に立てる方法がないかと考えていた時に、新薬の開発を病院でサポートする治験コーディネーター(CRC)という職種があることを知り、興味を持ちました。
現職のICUでは幅広い領域の疾患を経験することができました。また、様々な勉強会に積極的に参加し、自己研鑽に努めてまいりました。病棟では患者様に十分に説明した上で同意を得ることを心がけ、コミュニケーション能力を身につけることができました。
今後はこの経験を治験コーディネーター(CRC)として発揮してきたいと思います。よろしくお願いいたします。
- 看護師の志望動機サンプル(3)
- 認可が下りたばかりの新薬が効奏し、患者様自身での管理が容易になったり、疾患が緩和されるなどの効果が見られたりするようになる場面を見て、新薬や治験業界に興味を持つようになりました。
また、現職では退院支援が必要な患者様が多いため、家族の協力を得るだけでなく、他職種との連携をスムーズに行うことによって、患者様をサポートする経験を積んできました。
今後はこの経験を生かして治験コーディネーター(CRC)として新薬開発に携わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
- 詳しくはこちら
- 志望動機の書き方
自己PRではコミュニケーション力をアピールしよう

看護師が治験コーディネーター(CRC)へ転職する際に、自己PRで最優先にアピールすべきポイントは「コミュニケーション力」です。
患者様対応、医師とのやりとり、委員会や発表会などの経験を通じて、身につけたコミュニケーション力を具体的に書いていきましょう。特に気難しい医師や、厳しい看護師長と接してきて身についた能力は、ストレス耐性も含めて高く評価される傾向がありますので、きちんとPRしましょう。
他には「協調性」「調整能力」「疾患にたいする知識」「リーダーシップ」「体力」などを書くと良いでしょう。
領域別では救急領域や外科系で働いていた人は「フットワークの良さ」「元気さ」病棟や内科系で働いていた人は「患者様へのヒアリング能力」「患者様の気持ちを理解する能力」手術室(オペ)で働いていた人は、「説明能力」などをアピールされると良いでしょう。
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- 看護師の自己PRの書き方

面接について

看護師(特に専門学校卒)はきちんとした立ち居振る舞い、敬語などの言葉遣いに注意が必要

看護師(特に専門学校卒)はビジネスマナーに欠ける方が目立ちます。治験コーディネーター(CRC)の面接では、人前に出ても失礼がないビジネスマナーが身についていることが求められるため、ビジネスマナーに自信がない看護師は事前の準備が必要です。
また、看護師が治験コーディネーター(CRC)の面接を受けると、病院の面接とは違うと感じる方が多いようです。その違いについても説明します。
立ち居振る舞いと言葉遣いに気をつける

看護師はビジネスマナーに欠ける方が多く見受けられます。特に専門学校を卒業された看護師に多い傾向です。
治験コーディネーター(CRC)の面接では、初対面の相手に対して失礼のない立ち居振る舞いができる人かどうか厳しくチェックされていますので、「挨拶」「お辞儀」「姿勢」などの立ち居振る舞いを見直すだけでなく、服装や髪型などの身だしなみまで事前にきちんとチェックしておきましょう。
また、敬語などの言葉遣いにも注意が必要です。看護師は職業柄、親しみのある言葉遣いで、フレンドリーな対応をされる方が多いのですが、治験コーディネーター(CRC)の面接ではフレンドリーすぎる言葉遣いは「初対面の人に対して失礼」と評価され、不採用の理由になる場合があるため注意が必要です。
こちらも立ち居振る舞いと同様に事前にきちんとチェックして修正しておくことが大切です。
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- 面接の基本マナー

病院では通用しても治験コーディネーター(CRC)の世界では通用しないことを理解しておきましょう。

求められる答え方の違いを知る

病院と治験コーディネーター(CRC)の面接は多くの点が異なります。その中でも看護師が最も気をつけるべき点は「面接官の質問に対して正直に答えすぎない」ことです。
なぜなら、病院の面接は労働条件が合うかどうかをチェックする場所になっているのに対して、治験コーディネーター(CRC)の面接はやる気と適性があるかをチェックする場所になっているからです。
例えば、「残業ができますか?」という面接官の質問に対して、労働条件が合うかどうかをチェックする病院の場合は「~時間ぐらいまでなら対応できます」「◯◯曜日は対応できます」など応募者の希望をそのまま述べれば良いことが多いのに対して、やる気と適性があるかをチェックする治験コーディネーター(CRC)の面接では、同じように返答すると「やる気がない」と見られてしまうからです。
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- 面接でよく聞かれる質問と返答例


退職手続きについて

病院で働く看護師は治験コーディネーター(CRC)の内定をもらっても安心できません

看護師は治験コーディネーター(CRC)の内定を獲得した後に、もう一つ突破する必要がある壁があります。それは「退職手続き」です。看護師は臨床検査技師などの他の医療従事者と比較して、退職手続きに苦労する傾向が見られます。以下に詳しく説明します。
病院をスムーズに退職する必要がある

看護師は病院をスムーズに退職できない場合が多いです。退職日が予定よりも後ろにずれてしまった結果、治験コーディネーター(CRC)の内定が取り消されてしまうケースがあります。
どこの病院も看護師は人手不足で、退職を減らすためにあの手この手を考えています。その結果、SMOや病院が応募者を治験コーディネーター(CRC)として採用したいと思っても、転職可能時期が2~3カ月以上先のため、採用が見送られることがあります。
病院で働いている看護師、特に転職経験がない看護師は「病院を簡単に退職できる」という考えは捨てることが賢明です。そのうえで、事務局長や看護師長に言いくるめられないように、事前に退職に関する法律きちんと調べておき、他の看護師さんはどのように退職されているか日頃から情報のアンテナをしっかりと張っておくことが非常に大切です。
- 詳しくはこちら
- 退職手続き


そのような場合にどのように対処すれば良いかをきちんと理解しておくことが、いざという時に大変役に立ちます。事務局長や看護師長に言いくるめられてしまっても、得することは何もありません。毅然とした態度で対処することが大切です。