治験コーディネーター(CRC)への転職を考える際に気になるのは離職率と退職理由です。特にCRC未経験者にとっては、初めての業界で不安を感じる方も多いでしょう。
「募集が多いということは離職率が高い可能性があるのではないか?」「短期間で転職することは避けたいが、治験コーディネーター(CRC)は長期間働けるのだろうか?」「実際に治験コーディネーターとして働く人たちの声も聞きたいが、周りにいないからわからない」「インターネットで調べると、治験コーディネーター(CRC)の離職率は高いと書かれているが、本当なのだろうか?」など
このような不安を解消するために、看護師や臨床検査技師、薬剤師、管理栄養士、MRなどの他の医療職と比較した治験コーディネーター(CRC)の離職率や退職理由、よくある質問などを紹介します。また、企業別に退職理由に関するクチコミも掲載しています。
治験コーディネーター(CRC)の離職率と退職理由
治験コーディネーター(CRC)の離職率
治験コーディネーター(CRC)の離職率は、10~15%程度で推移している。離職率は福利厚生や労働環境の改善に伴って低下傾向にあるが、SMOの合併後は一時的に上昇することがある。
治験コーディネーター(CRC)の離職率は、複数の資料によると、10~15%程度で推移しています。
近年は治験業界の成熟化に伴い、福利厚生や労働環境の改善などが要因で、離職率は低下傾向にあります。しかし、SMOの合併が増えると、離職率は1~2年ほど上昇する傾向が見られることもあります。
CRCの離職率の推移
※SMOの離職率は日本SMO協会データ2022から、院内CRCの離職率は第4回登録CRC活動調査レポート、第3回登録CRC活動調査レポートから算出。
※2014~2017年のSMOの離職率の増加は大規模な合併が続いたためと考えられる。
※院内CRCの離職率は他の部署への異動も含む。
過去にSMOが公開していた治験コーディネーター(CRC)の離職率
- 医療システム研究所・・・・・4.9%
2024年11月の薬事日報の記事で「2023年度の離職率は4.9%」と述べています。
- イーピーミント(現EPLink)・・・・・・10%
田代伸郎前社長のインタビューで「弊社の前期(2009年9月期)の離職率は10%ぐらいでした。〈省略〉平均年齢が30歳代前半の女性ですから、結婚や出産、ご主人の転勤とか、いろいろなことがありますよ。だから離職率10%前後というのは、おそらくSMOの宿命という気がしています。〈出典 医療介護CBニュース〉」と述べています。
- CRA(臨床開発モニター)の離職率はこちら
- CRAの離職率
治験コーディネーター(CRC)の離職率は高いのでしょうか?
治験コーディネーター(CRC)の離職率が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その背景にはさまざまな理由があります。
離職率が高くなる主な理由
- 中途採用が多い
- 都市部での採用が盛ん
- CRC未経験者の採用が多い
- 有期の雇用契約が多い(院内CRC)
- 合併が多い(SMO) など
治験コーディネーター(CRC)は医療の知識と経験が必要なため、新卒採用よりも中途採用が多い傾向があります。そのため、25~30歳前後の女性が多く採用され、転職して数年以内に結婚や出産などで離職するケースが多くなります。
また、都市部での採用が多いため転職しやすい環境にある人が多いことや、治験コーディネーター(CRC)未経験者を採用した場合、新しい職種に適応できなかったり、仕事に慣れる前に辞めてしまったりする人がいることも離職率を高める要因となっています。
院内CRCの場合は有期の雇用契約が多いことも影響しています。有期契約は更新されるかどうか不安定であり、また更新されなかった場合は再就職をしなければなりません。
SMOの場合は合併後1~2年間の離職率は一時的に高くなることがあります。合併後は組織や業務内容が変わったり、人事異動や配置転換が行われたりすることで、働きづらさや不満を感じる人が増えることがあります。そのため、合併後は離職する人が多くなる傾向があります。
治験コーディネーター(CRC)の主な退職理由
治験コーディネーター(CRC)が退職する主な理由について見てみましょう。
CRCの退職理由
※50名のCRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=50)。 ※複数回答可
転職先としても治験コーディネーター(CRC)を選ぶ方が多いことから、仕事に慣れた後にさらなるキャリアアップを目指す方が多いと推測できます。
給与が低いことを理由に退職する看護師出身者も多く、勤務地が遠いことを理由とする看護師出身者や臨床検査技師出身者も見られました。残業が多い、休みがないといった病院で働く看護師によく見られる理由は少ないようです。
治験コーディネーター(CRC)の離職率についての誤解
治験コーディネーター(CRC)の離職率は、所属する企業や病院だけでなく、資格や地域によっても大きく異なります。
例えば、東京や大阪の看護師出身の治験コーディネーター(CRC)は、給与や労働条件が良い転職先が近隣に多数存在し、転職に積極的な看護師が多いため、離職率が高い傾向にあります。一方で地方の臨床検査技師出身の治験コーディネーター(CRC)は、臨床検査技師の就職先が看護師に比べて少なく、転職意欲が低い臨床検査技師が多いことから、離職率が低いです。
したがって、地方で臨床検査技師から治験コーディネーター(CRC)への転職を考えるときに、インターネット上の書き込みを見て「CRCは離職率が高いのかな?」と思うのは、事実とは異なる場合があります。なぜなら、その書き込みが東京の看護師出身の治験コーディネーター(CRC)によるものである可能性があるからです。
離職率を知る最善の方法は、面接で担当者から直接話を聞き、会社や病院の雰囲気なども考慮して総合的に判断することが大切です。
離職に関連する質問と回答
- Q
- 治験コーディネーターになって大変なことや苦労したことを教えてください。
- A
-
報告書を少しでも修正するときは医師の承認を記録に残す必要があります。例えば、数字を11から11.0へ変えるのにも医師が承認したという記録が必要です。もし、医師が見つからないと報告書がいつまでたっても修正できないなんてことが発生します。
大きな病院では医師を見つけるのも大変ですし、見つけた後に承認してもらうのも面倒です。承認してもらったら、また修正が必要な部分が見つかって、再び医師を探して病院を探し回るなんてことは日常でとにかく面倒です。
実際に一か所だけ医師の承認をもらい忘れたがゆえに、医師を探して待って承認をもらうために半日がつぶれたことがあります。もちろん、その日にやらなければならない他の仕事も残っていましたので、その日は残業になりました・・。そのようなときは、自分は何をやっているんだろうと遠くを見つめることになります。
- Q
- 治験コーディネーターになって辛いことはなんですか?
- A
-
医療従事者と比べて、治験コーディネーターは利益を重視しなくてはいけない仕事だと思います。そのため、患者さんの利益よりも病院・会社の利益を優先する必要が出てきます。
例えば、複数の治験の参加基準を満たした患者さんであれば、その患者さんの病態に合った治験薬よりも、契約費用が高い治験薬を優先することがあります。また、併用禁止薬の関係から、その患者さんに最適な治療薬を使うことができないこともあります。
既存の薬では有効な治療ができず、治験薬が最後の望み、といった患者さんのための治験はわずかです。むしろ現行の治療で安定している患者さんに、リスクを承知の上で治験参加を提案することの方が多いです。
会社からは期間内での契約症例数の満了を求められますので、患者さんの治療のための治験ではなく、契約達成・ノルマ達成が目的となっていきます。
このように多くのケースで、目の前の患者さまにとってはメリットばかりではないことが私は辛く感じます。特に看護師さんなど、元医療従事者の方は同じように感じやすいようです。
- Q
- 治験コーディネーターのストレスって何ですか?
- A
-
確かにどんな仕事にもストレスはつきものだと思います。しかし、治験コーディネーターは様々な立場の人に挟まれ、板挟みに合うことでのストレスが大きいのだと思います。
治験コーディネーターの重要な業務が、その職名の通りの調整役としての業務です。
忙しい医師に、診療業務の合間をぬって治験業務を行ってもらうため、基本的には医師にお願いをする立場に近いです。医師によっては治験業務に不平・不満を言われたり、対応の不手際を怒られたりすることもあります。
一方で、依頼者からは治験のプロトコルで定められた細かい手順の遵守が求められます。ここに関しては、医師だけでなく検査科や薬剤部との関係性も大切となります。
治験という研究ベースの手順と実臨床との間に立つことによるストレスが治験コーディネーターにはあると思います。
SMOであれば、そこに会社からのプレッシャーも加わります。
上司からは目標症例数の達成、売り上げを求められますが、症例数が増えていくと医療機関への負担は増加します。上司はその医療機関の現状を細かくは知らないため、無理な意見を押し付けられることもあります。
医療機関(医師、検査科、薬剤部)と依頼者、そして会社とそれぞれの主張の板挟みに合ってストレスを感じやすいのだと思います。
- Q
- 治験コーディネーターのノルマについて
- A
-
元看護師のCRCですが、私の感覚だと「CRCはノルマがある」と思います。
あくまでも感覚の話です。
私が病院で看護師として働いていたときはノルマなんて考えたこともなかったです。国立だったので、途中で利益も重要視されるように病院が変わっていきましたが、看護師にノルマのようなものが課されることはありませんでした。もしかしたら、美容クリニックや医療法人だったら違ったかもしれませんが、少なくとも病院で看護師として働いていたときはノルマとは無縁だったと言いきれます。
ところが、治験コーディネーターとして働いてみると、ノルマがある感覚に襲われます。なぜなのかを少し考えてみましたが、私なりの答えとしては「がんばったらがんばった分だけ評価される状態にノルマがあると感じる」です。
病院で看護師として働いていたときは、がんばってもがんばらなくても評価は同じでした。でも、やるべきことは次々と襲ってきますので、休んでいる暇なんてありません。患者様から感謝されても、別に給与が増えるわけではないですから、看護師になって2~3年もたつと、患者様から感謝されることについても何とも感じなくなりました。もちろん、うれしいですが、それよりも、夜勤をどうやりくりするかで頭がいっぱいだったりします。
治験コーディネーターは契約症例数という明確な目標があって、その目標を達成すると自分の評価が上がったり下がったりします。その評価は昇給や賞与に影響します。だから、目標を達成できるように、がんばるわけなんですが、その目標がプレッシャーになります。
看護師でいうと、私の場合は夜勤帯のやりくりに似ています。でも看護師のときは失敗しても給与は下がりません。先輩からこっぴどく怒られるだけです。でも、治験コーディネーターは怒られるのは少しだけで、評価がじわじわと下がっていき、給与が下がっていく場合があります。そんなに大きく下がるわけではありませんが、10円でも下がると心理的なショックは大きいです。これは、給与が下がった経験がある人でないと分からない感覚かもしれません。
がんばったらがんばった分だけ評価される状態であるということは、がんばらなかったらがんばらなかった分だけ評価が下がる状態とも言えます。がんばらなかった分だけ評価が下がり、給与も下がるというのが看護師にとっては未知の恐怖で、プレッシャーになり、ノルマがあるように感じる原因だと思います。
- Q
- 治験コーディネーターの離職率が下がっているって本当ですか?
- A
-
私は新卒でSMOに入社し、CRCとして働きましたが、その時に同期は40人くらいいました。しかし、3年もたつと約半数に、それから数年経った今ではもう残っているのはかなり少ない人数です。周りを見てみても離職率は依然として高いままだと思います。
中途で入った方も長くは続かず、だいたい3年くらいで今後続けるかどうか考える方が多いようです。やはり、理想と現実の業務のギャップに苦しむのではないでしょうか。
また、CRCは上になればなるほど業務量は増え、後輩のサポートも行わなければならないため給与と業務量が見合ってないと感じて離職してしまう方も多いようです。
- Q
- CRCは電車やバスでの通勤は大変ですか?
- A
-
看護師のときは車通勤でしたが、CRCへ転職した後は主に電車です。
車通勤の間は音楽を聴くぐらいしかやることがないですから、短ければ短いほうが良いとおもいますが、電車通勤は大変なときとそうじゃないときがあります。
乗り換えが多いときは大変です。例えば通勤時間は1時間だけれども乗り換えが2回あるなどです。降りて待って乗って降りて待って乗っての繰り返しで、通勤時間を有効に使えないだけでなく、疲れます。鞄が重かったりすると最悪です。通勤だけでぐったりです。乗り換えが少なくても、スマホを見れないぐらい混んでいると音楽を聴くぐらいしかできません。
30分ぐらい座れる時間があると、スマホを見たり、本を読んだり、仕事のことを考えたり、時間を有意義に使えます。オンとオフのメリハリもつきます。座れても30分を超えると電車やバスの振動やお尻のポカポカさで寝てしまいます。
私が思うには30分前後の座れる時間があって、通勤時間が片道1時間以内だと、通勤時間はとても有意義になると思います。
- Q
- CRCは入れ替わりが激しいでしょうか?CRCを辞めた後のキャリアを教えてください。
- A
-
CRC3年目です。
CRC業界が入れ替わりが激しいのは本当です。私の周囲でも1年間で何人も辞めています。それは個人の理由であったり、仕方のない事情であったりします。以下に例を挙げますね。
・入社してすぐに辞める人
これはどの業界でもそうかと思いますが、「思っていたのと違う」ため辞めるタイプです。CRCは患者とコミュニケーションを取りながら創薬に携われることが注目されがちですが、その実は事務作業が6割以上です。企業研究が十分でない人が辞めていきます。
・前の仕事に戻りたくなり辞める人
上記に関連しますが、転職組は入社後のギャップを感じたあと、前職の方がマシとして辞める人がいます。その理由はCRCが看護師等と違い国家資格ではないこと、患者さんと接する時間が前職より短くなったこと、業務量に比例して給料が安いことなどを理由にしている声をよく聞きます。
・ライフイベントとともに辞める人
新卒・転職して入るCRCは若い女性が多いです。そのため、結婚・妊娠・出産・パートナーの転勤などを契機に離職するケースがあります。
・キャリアビジョンが見えなくて辞める人
CRCは平社員でも多忙のため、役職がついた人は倍以上に忙しくされています。そのため、昇進したくない人が一定数いるわけですが、そうすると昇給する機会もなくなり、次第に「いつまでこの仕事をこの給料で続けていけばいいのか」と将来的なビジョンが見えなくなり、転職する人もいます。中にはCRA等にキャリアアップで転職する人もいますが極めてまれです。
看護師と治験コーディネーター(CRC)の離職率の比較
看護師と治験コーディネーター(CRC)の離職率に大きな差は見られない。
看護師と治験コーディネーター(CRC)の離職率を比較してみましょう。
日本看護協会によると、看護師の離職率は10~12%程度で推移しています。治験コーディネーター(CRC)と同様に、東京や大阪などの都市部では離職率が14~15%程度と高く、地方では7~9%と地域によって差があります。
また、病院種類別では日赤や市民病院などは離職率が低く9%程度、大学病院が12%程度なのに対し、医療法人や個人病院は15%~20%と離職率が高くなっています。患者様への看護のゆとりが持てる7:1看護比率の病院の離職率も低いようです。
看護師の主な退職理由
次に看護師の主な退職理由を見てみましょう。
看護師の退職理由
※都立病院看護職員退職アンケート結果より出典 ※複数回答可
看護師が退職する主な理由について見てみましょう。
看護師の退職理由はさまざまですが、代表的なものとしては、「夜勤に慣れない」「疲労が蓄積して抜けない」「達成感が得られない」などが挙げられます。離職率は病院の種類や地域によって異なります。
病院では夜勤があり、勤務時間や勤務曜日が不規則です。残業が多い病院も少なくありません。体力的・精神的に消耗する看護師は多くいます。夜勤に慣れない看護師は訪問看護やクリニックへ転職することもあります。
達成感が得られなくなった看護師は、治験コーディネーター(CRC)として働くことを含め、新たなキャリアを求める場合もあります。一方で、給与に対する不満はあまり聞かれません。
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臨床検査技師と治験コーディネーター(CRC)の離職率の比較
臨床検査技師と治験コーディネーター(CRC)の離職率には大きな差は見られない。
臨床検査技師と治験コーディネーター(CRC)の離職率を比較してみましょう。
CRCばんくの調査によると、
大学病院や国公立病院で働く正職員の離職率は3~5%と低い一方で、契約職員や民間病院、クリニック、健診センター、検査センターなどで働く臨床検査技師の離職率は10~20%と高くなっています。
大学病院や国公立病院の正職員になることは、求人数が少なく競争倍率も高いため容易ではありません。また、心エコーや腹部エコーなどのスキルを身につけるために病院を転々とする臨床検査技師もいます。
臨床検査技師の主な退職理由
臨床検査技師の退職理由は職種によって大きく異なります。ここでは、検査センター(ラボ)、民間病院やクリニック、健診センター、大学病院や国公立病院などで働く臨床検査技師の主な退職理由を見てみましょう。
臨床検査技師の退職理由
※50名のCRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=50)。 ※複数回答可
検査センター(ラボ)で働く臨床検査技師は、夜勤が多い、休日が少ない、転勤があるなどの理由で退職する方が多いです。夜勤がある検査センター(ラボ)では、育児と仕事の両立が困難だと感じ、出産をきっかけに退職する方も多くいます。また、朝から晩まで誰とも会話をしない業務内容に不満を持つ臨床検査技師もいます。
民間病院やクリニックで働く臨床検査技師は、細かい雑用ばかりで臨床検査技師としての仕事をさせてもらえないことや、仕事内容に不満を持つ方が多いです。給与や休日などの労働条件が悪いことも退職理由の一つです。
健診センターで働く臨床検査技師は、業務が単調であることや、健診バスの出発時間が早いことなどで退職する方がいます。健診バスではなく、健診センター内だけで勤務している臨床検査技師の離職率は比較的低いです。
契約職員として大学病院や国公立病院などで働く臨床検査技師は、雇用の不安定さや給与が低いこと、正職員との待遇格差などに不満を持つ方が多いです。一方で、正職員として大学病院や国公立病院などで働く臨床検査技師からは、不満の声はほとんど聞かれません。大学病院や国公立病院などは福利厚生が充実しており、出産後も同じ職場で働き続ける方の割合が高いです。
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薬剤師の離職率との比較
薬剤師と治験コーディネーター(CRC)の離職率には大きな差は見られない。
薬剤師と治験コーディネーター(CRC)の離職率を比較してみましょう。
CRCばんくの調査によると、薬剤師の離職率は10~20%で推移しています。薬剤師は半数以上が女性で、出産や育児などで離職する方が多いため、薬剤師全体の離職率は高くなる傾向があります。
薬剤師の離職率は働く場所によって大きく異なります。最も離職率が高いのはドラッグストアで、高給と聞いて入社したものの、レジ打ちや品物の整理など薬剤師の専門性を活かしづらい仕事が多く、不規則な勤務もあって辞める方が多いです。また、病院で働く薬剤師も、給与が低く勤務時間が長いという条件に見合わないと感じ、定着性が良いとは言えません。
調剤薬局で働く薬剤師の離職率は13~15%前後で推移しています。その内訳は正社員の薬剤師の離職率は約9%前後、パートやアルバイト雇用の薬剤師の離職率は21%前後となっています。その中でも、多くの店舗を展開している調剤薬局の離職率は15%以上と高いです。
薬剤師の主な退職理由
次に薬剤師の主な退職理由を見てみましょう。
薬剤師の退職理由
※50名のCRAばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=50)。 ※複数回答可
薬剤師は結婚や出産育児のために退職する方が多く、数年後にパート雇用で復職することが多いです。そのため、結婚や出産育児が退職理由のトップになっています。正社員として長く働く薬剤師は少ないです。
また、薬剤師の転職市場は需要が高く、特にパート雇用では仕事内容や労働条件に不満を持つ方が多く、転職を繰り返す方も多いです。
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管理栄養士と治験コーディネーター(CRC)の離職率の比較
管理栄養士に比べて、治験コーディネーター(CRC)の方が離職率が低い。
管理栄養士と治験コーディネーター(CRC)の離職率を比較してみましょう。
CRCばんくの調査によると、管理栄養士の離職率は15~25%程度と高い水準で推移しています。特に委託会社では入退職者の数が多く、流動性が高い状態が続いています。また、病院や保育園でも離職率は低くありません。
管理栄養士の主な退職理由
次に管理栄養士が退職する主な理由について見てみましょう。
管理栄養士の退職理由
※50名のCRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=50)。 ※複数回答可
管理栄養士が退職する主な理由は、給与や勤務時間に関するものです。これらは退職理由の半数以上を占めています。
栄養指導に興味を持ち資格を取得したものの、現実はサービス残業が多く勤務時間も不規則で、しかも年収が低く将来的にも上昇する見込みが少ないと感じている管理栄養士が多いです。
また、調理業務に関する不満を抱えている管理栄養士も少なくありません。調理しか任されないことや調理員との人間関係に悩んだことなどが挙げられます。他にも委託会社では、雇用形態が不安定だったり転勤が多かったりすることに不満を感じている方もいます。
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MRと治験コーディネーター(CRC)の離職率の比較
女性の場合、MRよりも治験コーディネーター(CRC)の方が離職率が低い。
MRと治験コーディネーター(CRC)の離職率を比較してみましょう。
CRCばんくの調査によると、MRの離職率は会社によって5~25%と大きく異なります。大手の内資系企業では離職率が低い傾向にありますが、一部の外資系企業では離職率が20%を超えることもあります。
また、状況が改善されつつあるとはいえ、女性のMRが30歳を超えて働くことが依然として難しい場合もあり、女性にとって長期的な雇用に適した環境であるとは言えない職場も見られます。
MRの主な退職理由
次にMRの主な退職理由を見てみましょう。
MRの退職理由
※50名のCRA・CRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=50)。 ※複数回答可
知らない土地への転勤や家族との別居を余儀なくされることに不満を感じている方や、男女差別の風潮が根強く、女性はセクハラやパワハラに遭いやすい環境にあることに悩んでいる方もいます。そのため、女性は結婚後に退職する割合が高く、30歳以上の女性が少ない職場も多くあります。MRは男性に比べて女性の離職率が高くなっています。
また、MRは医療業界では立場が低く、下僕のように扱われていると感じる方もいます。他にも会社から売上を過度に要求されたり、100社以上もの製薬会社と競合しなければならなかったりすることから、ジレンマやプレッシャーを感じている方もいます。精神的に強くなければMRとして仕事を続けることは難しいでしょう。
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