
MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職する時に注意すべき点を解説しています。
治験コーディネーター(CRC)を目指されるMRが増えていますが、看護師や臨床検査技師と比較すると転職の難易度が高いため、なかなか上手くいかないMRの方が多いようです。
こちらでは、MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職する際に特に注意すべき点を「年収・給料」「必要な経験と条件」「転職が成功するMRと失敗するMRの違い」の3つに分けて、徹底的にアドバイスしています。
MRの方は事前にこちらの記事に目を通して、治験コーディネーター(CRC)の転職活動に失敗しないように準備をしましょう。
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CRCへ転職した場合の年収・給料について

MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職すると「年収・給料」が極めて大きく下がる。

MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職する際に、最も大きな懸念点となるのが、年収が大きく下がってしまうことです。
MRは最も給料・年収が高いと言われている職種の一つであるのに対して、治験コーディネーター(CRC)はいわゆる平均的な年収・給料の職種になります。
そのため、MRとして経験がある方が、治験コーディネーター(CRC)を未経験から始めようとすると、人によっては年収が半分近くまで減ってしまう場合もあるため、事前にどれぐらいまで下がるのかをきちんと把握しておくことが大切です。
また、治験コーディネーター(CRC)として5~10年の経験を積んでも、MRの年収・給料に追いつく可能性は低いため、転職直後だけでなく、治験コーディネーター(CRC)として働く間は、常にMRの時にもらっていた給料を下回る状態が続く可能性があります。
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- CRCの年収
MRからCRCへ転職すると初年度の年収・給料が大きく下がる
20代のMRは治験コーディネーター(CRC)へ転職すると、年収が平均100~200万円前後下がることが多いです。また、30代のMRは年収が200~400万円近く下がることも珍しくありません。
仕事の内容や転勤がないことに魅力を感じて治験コーディネーター(CRC)への転職を考えても、初年度の年収が大きく下がることを知って転職をあきらめるMRが多く見られます。
MRの年収と、CRCの初年度年収
※268名のCRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2023年6月、有効回答数:N=268)。
※MRは2018年の賃金構造基本統計調査を独自に加工して作成。
- MRの平均年収は20代の男性が500~600万円、女性が400~500万円、30代の男性が600~800万円、女性が500~600万円となっています。
- CRCの初年度の年収は350~400万円前後の提示を受けることが多いです。
- 男性のMRは年収が200~400万円前後、女性は100~200万円前後、下がることが多いようです。

MRとCRCの年収の比較
MRは全職種の中でも年収・給料の高さがトップレベルに位置づけされます。MRと治験コーディネーター(CRC)の年収・給料を比較すると「MRのほうが高い」です。その差は大きく、仮に治験コーディネーター(CRC)として5~10年の経験をつんでも、MRとしてもらっていた年収・給料に追いつけない可能性があります。
年収の比較
※CRCは268名のCRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2023年6月、有効回答数:N=268)。
※MRは2018年の賃金構造基本統計調査を独自に加工して作成。
- CRCの平均年収は20代が約400万、30代が約500万、40代が約550万円です。
- MRの平均年収は20代が約500万、30代が約650万、40代が約800万円です。
- CRCよりMRのほうが平均年収が50~300万円前後高くなっています。

CRCへ転職するために必要な経験と条件

「入籍や結婚式の具体的な日時が決まっていないMR」は治験コーディネーター(CRC)へ転職しやすい。
以下の3つの条件を満たしていると、MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職しやすくなります。
MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職しやすくなる3つの条件
- 1.
- カルテが読める
- 2.
- 独身、もしくは、育児のサポート体制が万全である
- 3.
- 複数名の募集が発生している、もしくは、SMAや渉外の募集も発生している
なぜ、この3つの条件を満たしていると治験コーディネーター(CRC)へ転職しやすくなるのでしょうか。以下で詳しく説明します。
カルテが読める 独身、もしくは、育児のサポート体制が万全である 複数名の募集が発生している、もしくはSMAや渉外の募集も発生している。
カルテが読める

治験コーディネーター(CRC)の業務の一つに、治験に参加する患者様を選ぶ「カルテスクリーニング」という業務があります。そのため、治験コーディネーター(CRC)にはカルテを読む能力が必要になります。
カルテを読むためには、略語や専門的な表記を理解したうえで、自分が欲しい情報が書いてあるページをすばやく探せる能力が必要です。特に入院期間が長い患者様のカルテを読めるようになるためには、2年前後の実習期間が必要だと言われています。そのため、治験を行うSMO・病院は最初からカルテを読める人を選んで採用することが多くなります。
MRは原則、カルテの閲覧ができません。そのため、カルテを読む能力を身につけるためには、類似した書類に触れる機会がある「製造販売後調査(市販後調査/PMS)」や「添付文書改訂」等の経験があるとが好ましいです。また、CRA(臨床開発モニター)との同行訪問や、治験実施施設を担当した経験などがあると、より効果的です。
独身である、もしくは、子供がいても育児のサポート体制が万全である

結婚の予定が決まっていたり、新婚だったりすると、治験コーディネーター(CRC)の内定を獲得できる可能性が低くなります。
なぜなら、治験コーディネーター(CRC)の仕事を覚えて一人前になるために2~3年の期間が必要であるため、採用担当者は治験コーディネーター(CRC)として一人前になる前に出産・育児に入る可能性がある人を避ける傾向があるからです。既婚者でもすぐの出産を考えていない20代半ばの方であれば、内定を獲得できる可能性は十分にあるようです。
また、すでに育児中の方の場合、両親が近くに住んでいる等で育児のサポート体制が万全の場合のみ、治験コーディネーター(CRC)の内定を獲得するチャンスがあるようです。
なぜなら、治験コーディネーター(CRC)の仕事は育児との両立がしやすいとは言え、プロジェクトによっては残業や出張が発生することも多く、新たに仕事を覚えながら育児をするのは想像以上に大変だからです。
複数名の募集が発生している、もしくはSMAや渉外の募集も発生している。
募集人数が多いと看護師や臨床検査技師だけでは採用予定の人数に達しない可能性が高くなります。そのため、2名以上の募集を行う場合は看護師や臨床検査技師、薬剤師だけでなくMRを含めて採用活動を行うことが多くなります。
ただし、福岡や東京23区は看護師や臨床検査技師の応募者数が多いため、複数名の求人が発生していても、MRが応募できないことが多いようです。
他にもMRは治験コーディネーター(CRC)だけでなく、SMA(治験事務局担当者)や渉外(営業)の求人へも応募が可能です。そのため、SMA(治験事務局担当者)や渉外(営業)の求人も同時に発生している場合、治験業界へ転職できる可能性が高くなります。
- Q
- SMA(治験事務局担当者)や渉外(営業)って何をするの?
- A
- MRは治験コーディネーター(CRC)だけでなく、SMA(治験事務局担当者)や渉外(営業)への転職も可能です。そのため、治験コーディネーター(CRC)だけでなく、SMA(治験事務局担当者)の仕事内容も事前に調べておきましょう。
- SMA(治験事務局担当者)の仕事内容はこちら
- SMAの仕事内容
SMA(治験事務局担当者)の位置づけは主に以下の二つのパターンに分かれます。
- SMA(治験事務局担当者)と渉外(営業)のそれぞれに専任の担当者がおり、完全に別のポジションになっている場合
- SMA(治験事務局担当者)と渉外(営業)が兼任となっており、SMA(治験事務局担当者)が渉外(営業)も兼ねる場合
SMA(治験事務局担当者)が渉外(営業)を兼任しない場合、年収・給料が低くなる傾向があるため、事前に確認をしておきましょう。


CRCへの転職が成功するMRと失敗するMRの違い


MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職を検討する理由の多くはMRの「勤務地」に対する不満からです。例えば
- 希望する勤務地を選べない
- いつまで地方での勤務が続くか分からない
- 転勤が多い
などです。そのため、結婚が決まったり、介護などで実家へ戻る必要性に迫られた時に、MRの仕事を続けられなくなり、他の仕事を探していた時に、治験コーディネーター(CRC)へ転職できることを知ったというMRが多いようです。
しかしながら、上記でも説明をしたように、MRが治験コーディネーター(CRC)へ転職すると年収が大幅に下がります。そのため、MRが治験コーディネーター(CRC)への転職を成功させるには、年収の大幅な減少を補える明確なメリットが必要になります。
MRが安易な気持ちで治験コーディネーター(CRC)への転職を考えても上手くいくことは少ないです。
MRから治験コーディネーター(CRC)への転職活動が成功するパターン
- 結婚をするかもしれないが、入籍や結婚式の具体的な日時までは決まっていないMR
- 結婚後も仕事を続けたいと考えているが、MRの仕事内容や転勤の可能性などを考えた時に、MRを続ける選択肢がない場合です。独身として応募できるため、治験コーディネーター(CRC)の選考に通過する可能性が十分にあると言えます。
- 介護等の家庭の事情で、どうしても実家へ戻る必要があるMR
- 家庭の事情で実家の近くに住む必要があり、MRを続けられなくなった状態です。治験コーディネーター(CRC)は転勤の可能性が低く、地方で長期的に働ける可能性が高いため、実家の近くに住む必要性が明確なMRは、治験コーディネーター(CRC)へ転職できる可能性が十分にあると言えます。
MRから治験コーディネーター(CRC)への転職活動が失敗するパターン
- 結婚予定があり、具体的な日時まで決まっているMR
- 結婚後も仕事を続けたいと考えているが、MRの仕事内容や転勤の可能性などを考えた時に、MRを続ける選択肢がない場合です。結婚の具体的な日時が決まっているため、結婚の予定がある独身者として応募する必要があるため、治験コーディネーター(CRC)の選考に通過する可能性が低くなると言えます。
- 既婚のMR
- すでに結婚をしているが、MRのままでは家庭と仕事の両立が難しいと感じており、治験コーディネーター(CRC)への転職を検討している方です。治験コーディネーター(CRC)の仕事を覚えるためには2~3年間かかると言われています。
既婚者の場合、治験コーディネーター(CRC)の仕事を覚える前にすぐに出産・育児に入る可能性が高いと判断されることが多いため、治験コーディネーター(CRC)の選考に通過する可能性が低くなります。
また、すでにお子様がいらっしゃる場合は、残業や研修への対応が難しくなることが多いため、両親が近くに住んでいる等の育児のサポート体制が整っている方以外は、内定が獲得できません。
- なんとなく転勤がない仕事へ転職をしたいと思っているMR
- 地方など、希望しない勤務地で働くのが嫌になったMR
- 治験コーディネーター(CRC)へ転職しても、年収が下がる点を補えるメリットが見つかりません。高い給料を捨てたうえで、治験コーディネーター(CRC)の仕事を一から覚えるのには相当な覚悟が必要です。
勤務地などの不満があってもMRを続けたほうが総合的に得になる場合が多いので、治験コーディネーター(CRC)への転職は時期尚早であると言えます。