臨床心理士の治験コーディネーター（CRC）未経験者の求人募集

臨床心理士の治験コーディネーターの求人募集状況

全国の求人数は普通です。全国各地で数名の治験コーディネーター（CRC）の求人があります。

治験コーディネーター（CRC）への転職を成功させるためには、応募者の経歴や人柄だけでなく、応募するタイミングも重要な要素です。現在は求人数が数名と少なめです。治験コーディネーター（CRC）への転職を考えている方は、できるだけ早く募集先に問い合わせてみましょう。

近年のCRC未経験者向け募集のトレンド

治験コーディネーター（CRC）未経験者向けの中途採用の求人数は、2013年にピークを迎えた後、緩やかに減少傾向にありました。その後、コロナ禍の影響で一時的に急増しましたが、現在はほぼ横ばいとなっています。

この背景には、治験の主要な領域が糖尿病や高血圧などの少試験多症例の生活習慣病から、がん（オンコロジー）や希少疾患などの多試験少症例の高難易度疾患に変わったことが考えられます。このような変化により、治験に必要な症例登録数が減少し、治験コーディネーター（CRC）の求人数も減少しやすくなりました。

また、大手のSMOが新卒採用に力を入れるようになったこと、看護学部や臨床検査学科での治験関連の授業回数が増加したこと、そしてコロナ禍において治験がメディアで取り上げられる機会が増えたことなどが、治験業界の認知度向上に寄与しました。その結果、SMOや病院は新卒採用で有望な人材を確保しやすくなり、中途採用数は相対的に減少しました。

ただし、中途採用数は減少もしくは横ばい傾向にある一方で、治験コーディネーター（CRC）未経験者が安心して転職できる求人は増加しています。その理由は、治験コーディネーター（CRC）未経験者向けの教育制度が充実したからです。

特にがん（オンコロジー）などの高難易度疾患の治験の需要が高まったため、大手SMOを中心に研修回数が増加し、内容も充実したものとなりました。また、EラーニングなどのIT化の進展により、個々のニーズに合わせた研修が容易に受講できる環境が整備されました。さらに、中小規模のSMOの再編や淘汰が進み、各SMOの規模拡大に伴い、教育部門の設置が促進されました。

臨床心理士の転職状況

近年、認知症やうつ病などの中枢神経領域（CNS）の治験が増加しています。その結果、病院やクリニックでの勤務経験と、実務を通じてカルテを読むスキルがある臨床心理士は、治験コーディネーター（CRC）として活躍できるチャンスが増えています。

実際に、臨床心理士を治験コーディネーター（CRC）として積極的に採用するSMOや病院が増えており、臨床心理士から治験コーディネーター（CRC）への転職者も増加しています。

臨床心理士の心構え

臨床心理士は、看護師や臨床検査技師に比べて、書類選考の通過率が低いことや、応募できる求人が限られていることがあります。

したがって、臨床心理士が治験コーディネーター（CRC）への転職を成功させるためには、治験業界や治験コーディネーター（CRC）の仕事内容について十分に調べた上で、内定を得やすい求人を見極めて応募することが重要です。

臨床心理士と他の資格との比較

臨床心理士は、看護師や臨床検査技師、薬剤師と比較して、治験コーディネーター（CRC）への転職が難しい場合もあります。その理由は、臨床心理士は看護師や薬剤師ほど疾患や薬の知識が乏しく、臨床検査技師ほど検査値に詳しくないためです。そのため、治験コーディネーター（CRC）になった後は、疾患や薬、検査値などの不足している知識を補うために、多くの学習が必要となります。

しかし、臨床心理士は中枢神経領域（CNS）の治験において、他のどの医療従事者出身の治験コーディネーター（CRC）よりも活躍できる可能性が高いです。なぜなら、中枢神経領域（CNS）では、臨床心理士が得意とする精神科領域の知識や経験を活かせるだけでなく、カウンセリングスキルが被験者との信頼関係を構築する際に役に立つからです。

さらに、臨床心理士は中枢神経領域（CNS）に限らず幅広い知識や経験を獲得することで、特定の領域だけでなく広範な領域で活躍できる治験コーディネーター（CRC）になることが可能です。

臨床心理士がCRCへ転職するメリットとデメリット

メリットのベスト5

1位: 給与が上がる

2位: 雇用形態が安定する

3位: 福利厚生が充実している

4位: 最先端の新薬開発に携われる

5位: 視野が広がる

デメリットのベスト5

1位: カウンセリングなどの心理援助の機会が減る

2位: 精神科以外に他の領域も担当する

3位: 新たに覚えることが多い

4位: 勤務地が遠くなった

5位: 患者様の立場での仕事が難しい

メリット

メリットの1位は、給与が上がったことです。臨床心理士は時給制で働いている方が多いため、給与が安定する点をメリットとして感じる方が多く見られました。ようやく人並みの給与がもらえるようになったとおっしゃる方もいました。
2位は、雇用形態の安定です。臨床心理士の中には、アルバイトや派遣などの非正規雇用で勤務する方が多いため、正社員として安定した雇用で働けることをメリットとして感じる方が多く見られました。
3位は、産休育休や介護休暇などの福利厚生が整っていることです。特に、結婚を視野に入れている臨床心理士にこの傾向が多く見られました。
臨床心理士の非常勤で働いている方も多いため、メリットの1～3位は労働条件に関連しています。

デメリット

デメリットの1位は、カウンセリングなどの相談業務の機会が減ることです。治験コーディネーター（CRC）の業務にも相談業務は含まれますが、臨床心理士が行うカウンセリングとは性質が異なります。そのため、自身の資格を十分に活かせていないと感じる臨床心理士が多く見られました。
2位は、臨床心理士の専門領域である精神科以外の治験を担当することも多くあるため、不慣れな分野に戸惑うことがあるという声が聞かれました。
3位は、新たに薬や治験に関する知識を学ぶ必要があり、覚えることが多いという声が聞かれました。
4位は、訪問先の病院が遠い場合、通勤時間が長くなり、臨床心理士の時よりも勤務地が遠くなったことに不満を抱く方がいました。
5位は、治験コーディネーター（CRC）の業務は新薬のデータ収集が優先され、患者様の都合を優先できない場合があるため、患者中心の姿勢で業務を行えないことに悩む臨床心理士がいました。